趣旨

 昨年の事業仕分けで若手研究者のための予算が大幅削減の対象になったことは、若手研究者に大きな危機感を抱かせるものでした。文化人類学でも多くの院生・若手が署名活動を行い、反対の声をあげてきました。幸い事業仕分けによる若手支援の削減は避けられましたが、就職難など若手を取り巻く環境は依然として厳しいままです。この危機的な状況の中で、私たち有志は全国の若手研究者のいっそうの交流の必要性を感じてきました。そこで私たちは今回の研究大会という機会を捉えて、若手が交流する懇談会を企画いたしました。

 すでに人類学の分野では、シニア研究者のご配慮もあって、特定領域研究「資源人類学」や京大、阪大などのGCOEプロジェクトで若手の交流をサポートする試みがなされてきました。また、若手研究者や院生たちも各地で独自の研究会を立ち上げて活発に活動しています。こうした場での熱気あふれる交流は、すでに数多くの学会分科会、論文集、学会誌特集、国際シンポジウムなどを生み出してきました。

 今回の懇談会は、現在の若手を取り巻く問題を議論するだけでなく、若手の方々がより良い研究をするための交流の場を提供することを目指しております。そのために、各地で研究会、プロジェクトを実施されている方々に活動の紹介をお願いしています。とはいえこの会は若手に限定した会合ではありません。年齢、立場を越えた多くのみなさまの参加をお待ち申し上げております。